炎天下に繰り出すのは

備忘録、自省

別れてたって離れてはいられない

 最近、3年間住んだ代田橋という街から引っ越した。知り合いもたくさん出来たし、普通の大学生では出来ない経験をこの街で沢山した。(その代わり普通の大学生の経験は出来なかったけど。)同性愛の人、全身タトゥーの人、お笑い芸人、ミュージシャン、果てはAV監督まで。沢山の年齢、属性の人と毎晩酒を飲みながら話した。

 そんな街だから思い入れが特段強い。これからもこの街の経験を語っていく事だろう。

 そして昨日、残った荷物を取りに戻ると、何だか安心した気持ちになった。そんな感情をハノイでも味わった気がする。

 

 ハノイ3日目、ハロン湾というところが有名だとインターネットで知り、行き方も分からないのでその日だけツアーで申し込んだ。ヒルトンホテルのロビー集合となっており、勝手に入っていいのかなとか思いつつ恐る恐る豪華絢爛なホテルのロビーに座ってガイドが来るのを待っていた。怪しまれないようになるべく堂々としたフリをしていた。

 

バスが来て乗ると、乗客は全員日本人だった。2日だけでも異国の地で孤独な日本人をやっていると、うどんと日本語が恋しくなる。だからナチュラルな日本語を聞いただけでとても安心した。

 

 けれども、誰とも会話ができない。代田橋だったら出来るのに。乗客でいたのは、僕と歳が近そうな女性2人組、仲の良さそうな老夫婦、一人旅の男性が僕含め3人。行きのバスは終始無言で、眠れもしないのでずっと地図を眺めていた。

 日本にでもその辺にありそうなお寺と、ローカルめな市場を巡ってから、ハロン湾の島へ向かうクルーズ船へ。

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 そこで昼食だったのだが、なんと大皿を取り分けるスタイル。しかも僕のテーブルは一人旅の男性と一緒。ここでも会話が無かったらせっかく来たのに地獄だ。だが、そこで現地人ガイドの鶴の一声「追加料金でお酒も飲めますよ」と。チャンスだ!すかさずビールを注文するとあとの2人も同じビールを注文した。

 ご飯とビールが運ばれてきて、キッカケを作るために誰がどう見ても一番歳下の僕から「じゃあ、とりあえず乾杯しましょう。」なんて生意気をほざいた。すると、1人の中年男性が会話を切り出した。良かった!おじさんありがとう!

 すると堰を切ったように会話が弾んだ。代田橋でもそうだけど、やっぱり酒ってコミュニケーションツールなんだなぁ。話を聞くと2人とも海外在住の方で、日本に住んでいるのは僕だけだった。船の屋上に出て景色を眺める時間になった頃には、全員仲良くなって会話をしていた。日本語で会話出来たことが本当に安心したし嬉しかった。

 

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 世界遺産とだけあって、島々の景色と鍾乳洞はとても美しかった。帰りの船とバスは酒が入っていたのでみんな寝てしまった。僕も例に漏れず。

 

 最後のお別れになると、じゃあ、またどこかで!なんてみんなで言って。ああ、良い1日だったなあ。

 

 失った時にその大切さが分かるなんて僕は今まで幾度となく聞いてきたし、読んでくれてる人もそうかもしれないけど、今回はすごく短期間でそれを感じることができた。

 今回の旅でいろんな意味で日本っていい国だなと思ったけど、その一つ。自分の故郷って安心するんだね。

 代田橋にもこれからも時々通うことにしよう。

 

最後までありがとうございました。

 

それではひとつよしなに。