炎天下に繰り出すのは

備忘録、自省

大海を知らないということ

自分の能力を過信していた時期があった人もいると思う。でも人間ってそんなにたいした事がない人がほとんどだし、僕もその1人。遅かれ早かれ自分は何者でもないと気づいて、人間はそうやって大人になっていくと思う。

 

僕はプライドが人より高い人間だったので、それに気づくのが少し遅かった。だから他人に傲慢な態度を取ったり見下したりしてしまっていた。本当に恥ずかしい限り。

 

 

 

実家が厳しくこれといったチャレンジをさせてくれなかったので、19の歳で一人暮らしを始めてからたくさんの事をやろうと思っていた。そのうちの一つが青春18きっぷで行く宛てもなく一人旅をする事だった。

切符をどこで買ったか忘れたし、始まりまでどんな気持ちだったかは忘れた。だけど、不安は少しあったと思う。今思えばその程度で、とは思うけど。だって、初めてだったから。その程度でも田舎者の抑圧された家庭で育った19歳には大冒険だったのだ。

 

とりあえず行った事のない北陸を目指した。昼前くらいに出て夜中に新潟の直江津に着いて、近くの漫喫に泊まった。

朝外に出るとなるほど、太平洋沿岸とは少し空気が違う。少し締まった空気のような感じがした。

 

1両編成の第3セクターで向かったのは後に何度も通うことになる富山だった。高岡駅に着いて北陸にこんなモダンな街があったんだと思った。結局今の今まで分からずじまいで言葉にもできないけれど富山には僕を惹きつける何かがあったし、実際に3年で10回くらい富山に行った。何かがなければそんなに同じ場所に行かない。

富山に行けば全ての建築物が美しく見えたし、何より立山が本当に美しい。しばらく行ってないけれど富山は自分にとって理想郷に近いのかもしれない。

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そんなこんなで2泊くらいして西へ向かった。正直、そのあとの事はあまり覚えていない。金沢で兼六園を見て、湖西線に乗って琵琶湖を見て、京都で伏見稲荷に行った気がする。金沢の駅ビルでゴーゴーカレーを食べてあたかも本店で食べたような気分になっていたような気がする。JR西日本の電車のシートの文化に驚いた気がする。どれもこれも見たことない物でどの場所も素晴らしかったけれど、富山だけ忘れられなかった。

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そして、大阪で足のマメが潰れ歩けなくなって、12時間かけて鈍行を乗り継いで東京に帰って初めての冒険(笑)は終わった。

 

今こうやって書いてみればたったこれだけの事なのだが、あたかも大冒険をしたように、富山に関しては新大陸でも発見したかのように大げさに話して自分は稀代の風来坊になったような気分になっていた。

僕の周りにそういう旅をする人がいなかっただけの話で、普通に考えればそんな人は何万といる。とんでもない旅をしている人たちもたくさんいる。自分の狭い仲間内で話して少しだけ驚いたような顔をされるのが快感だっただけ。

 

卒論をやっていて思うようになったんだけれど、自分の能力を過信して真面目なテーマにしたはいいものの、思うようなレベルに至らなかった。そこで自分は何者でもない人間だと悟り、受け入れた。そして色んなことにこの考えを当てはめてみて、ああ、あれは高慢だったのとか色々思うようになって旅もそのひとつだった。

今まで人生の要所で中途半端に良い結果を残してきたせいで変にプライドがついてしまったんだと思う。

だから、遅かったけど気づけて良かった。だからこそ今、この旅行を普通の事と思えるんだと思う。

 

でも間違いないのは、この旅は良い経験だったし、これからの一人国内旅行の始まりとなった。始まりにはちょうどいいくらいだったのかもしれない。

 

次また書きたい事思いついたら書きます。最後までありがとうございました。

 

それでは、ひとつよしなに。