炎天下に繰り出すのは

備忘録、自省

自分らしく旅をする

大学生の卒業旅行。まさに今がシーズン。

インスタでみんながだいたいどこに行ってるかは分かるけど、そんな様子を見ているとその人らしさが出るなぁと思う。海外に行く人、温泉地に行く人、あるいは特にどこにも行かない人。まあ大体はヨーロッパに行ってるかな。

 

 そして自分はと言うと、この間のハノイに引き続き原付とフェリーでまだ行った事のない都道府県を潰しながら九州最南端を目指す事にした。水曜どうでしょうの真似だけど、なかなか他の人はやらない事。部活、大学の専攻…昔からあんまり人がやらない事をやりたがってやって来たと思う。

 本当は友達とヨーロッパに行って楽しそうにしているのを見るのが死ぬほど羨ましい。でも僕は大学でそんなに友達を作ってこなかったし、誘われもしなかった。寂しいけどこれが自分が大学でやってきた結果なんだから。

 その代わり一人遊びには金をかけまくってきた。親の庇護に甘やかされているので金はある。野球をはじめとして色々な所に行った。何度も同じ所に行ったりもした。自由気ままに、その日の天気や気分で場所を決めて行くのは時として素晴らしい景色に辿り着いたりもする。

 

 最近では遠くに行くことが増えて、そうなると飛行機の方がコストパフォーマンスが良い事に気づき、フライトによる移動が増えていった。それはそれで時間が有効に使えて良いのだが、何だか移動に味気がなくなってしまった。乗り換え待ちで降りた姫路城、トンネルを抜けた先にあった3月の五箇山の雪景色。そんな思いがけない事が、そういえばしばらく無いなあと思った。

だから、テレビの真似だけど、遅すぎず速すぎずの原付の旅なんかしたいなとずっと思っていた。

 

原付はあまり乗った事が無かったので、叔母にレクチャーを受け、地元で練習を重ねてから出発した。

 

まず仙台港から名古屋までフェリーで向かった。初めてだったので時間の潰し方を知らずとにかく暇だった。着くまで風呂に3回入った。

 

名古屋港に到着して、その日の目的地は奈良。開放感と、やっと始まるという期待感を抱いて原付を走らせたのも束の間、国道は大型トラックの嵐。とにかく追い抜かされるのが怖かった。

さらに待ち受けていたのは通行止め、聞いてないよ。回り道して通ったのは鈴鹿峠。あんな所原付で攻めた奴なんてほとんどいないだろう。とにかく寒くて死ぬかと思った。途中、信楽を通ってタヌキの置物がたくさん売られているのを見た。

 

1時間ほど遅れて奈良に到着。お寺はほとんど閉まっていたが、まあ奈良は生きていればもう一回来るだろう。その時の楽しみにしておけば良い。でもせっかく来たから近くの春日大社だけ行った。街をフラフラ歩いて、うどんを食べ、ゲストハウスの人とビールを飲んで話し、寝た。

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3日目、前日の反省を生かし全身にカイロを貼る。しかしそんなものは紀伊の山中では焼け石に水。雪も降ってくるし、なんでこんな事思いついたんだろうと後悔した。和歌山は掠る程度でも良かったけれども、せっかく来たからと遠回りして和歌山城を経由しご当地ラーメンを食べた。その日は大阪の海沿いを北上し、別府までのフェリーに乗船した。

 

 朝に船から降り、たまには観光をと思い温泉に入り地獄めぐりをした。温泉の隣にあった風俗の女の子が自転車を、その温泉の駐輪場に止めてお店に入っていった光景がしばらく頭の中を巡っていた。その日はまた懲りずに峠越えをして命の危険を所々に感じつつ日向市のホテルに泊まった。


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 次の日はとにかく南下する事を目指し、海沿いをひたすら走り続けた。去年来てもう来る事は無いだろうなと思っていた青島温泉に、身体を温めるためにまた入るなんて。

 日南あたりの海沿い、やっぱり海は良い。雨が降りそうな天気だったけどそれでもきれいだった。これが晴れていたらどんなに良かったことか。その日は鹿屋市のホテルに宿泊。何故かそこで髪を染めた。

 

 朝起きて朝食を済ませ、部屋に戻ると向かいの部屋が賑やかだった。結婚式準備をしているようだった。良いなあ。結婚式、楽しいから誰かのに呼ばれないかな。

 

さあ、今日は目標の佐多岬まで行くよ!と気合を入れて出発。途中、雄川の滝という場所にも寄った。日本にこんな場所があるんだなぁ、と思ったくらい壮観で美しい滝だった。こんなに綺麗な場所、もっと有名になっても良いはずなのに。

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このあたりのガソリンスタンドは個人経営が多いのか、ナンバーを見て店のおばちゃんが「どこから来たの?」と聞いてくれる。そこでちょっとした会話になって、飴をたくさんくれた人もいた。

 

そして沿岸の道路と山道を繰り返し、やっと佐多岬に着いた。時間をかけて来た場所はその分感動が大きい。

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色んな人の、特に叔母の尽力のおかげでまた旅の目標を達成することができた。こういうアホな事、もうしばらく出来ないかもね。だから今のうちにやっておけて本当に良かった。

 

 それから指宿の天国みたいな旅館に泊まって、3日くらいかけて宮城まで帰った。帰宅した次の日は一日の2/3は寝ていた。

 

 道中も時々ヨーロッパに行っている友人のことを思い出し、俺何やってんだろうなと思ったことも幾度となくあった。だけど、いいじゃん、これも。海外なんて生きていればそのうち行けるんだしさ。こんなに時間かけられる事なんて社会人になってしまったら無いからね。なんて自分に言い聞かせていた。

 

最後までありがとうございました。